原木したけは、日本の栽培きのこの原点です。

原木しいたけの栽培技術が確立されてから、約半世紀以上が経ち、その技術はさまざまな食用きのこに応用され、今ではバラエティーにとんだきのこが食卓に並ぶようになりました。ブナシメジやエリンギ、まいたけ、バイオテクノロジーを活用したホンシメジ栽培など日本の栽培きのこの発展は、原木しいたけの技術の延長にあるものです。

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原木しいたけと表記するには理由があります

しいたけの栽培方法には、大きく分けて、菌床栽培と原木栽培の二つがあります。菌床栽培は、オガ粉に栄養素(米ぬかなど)を混ぜ、ブロック状または円柱状に固めた培地にしいたけ菌をまん延させ、しいたけを発生させる方法です。原木栽培は、ナラやクヌギなどの原木にしいたけ菌をまん延させ、しいたけを発生させる方法です。現在、市場に流通する栽培きのこのなかで、純粋に原木を使用する食用きのこは原木しいたけのみです。マイタケもブナシメジもエリンギも一般に流通しているきのこ(マッシュルームは除く)は、菌床によって栽培されています。


原木しいたけの各部分の図解

しいたけ菌は、胞子→菌糸→きのこ→胞子・・・の順にその生活をくり返しています。しいたけ菌は、胞子→菌糸→きのこ→胞子・・・の順にその生活をくり返しています。私たちが普段目にしている「しいたけ(きのこ)」は、しいたけ菌の一生のうちのごく一時代の姿なのです。この状態を正式には「子実体」といい、胞子を産み出すための生殖器官のことを指します。 他の食用きのこ類も同様ですが、私たちはこの「子実体」を食しているのです。“きのこ”の語源の由来ですが、昔の人が山に行って、枯れ木から子実体が発生しているのを見て「木の子」と名付けたと言われています。

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「きのこ」は「木の子」である

二十世紀半ば、原木しいたけ栽培の技術の発展とともに里山の恵み「原木しいたけ=木の子」として一般の食卓を彩る食材となりました。現在、しいたけの国内流通量の約8割が菌床栽培しいたけ(中国産を含む)です。これは工業製品のように栽培できる利便性から徐々にシェアを伸ばしてきました。しかし、一般の人々のイメージの中にあるきのこは、森の恵みや木の恵み。けして工業製品ではありません。当園では、原木しいたけは人々の観念、イメージの中にある「きのこ=木の子」に最も合致する栽培きのこであるということに一番のこだわりを持っています。


原木しいたけは安全です

原木しいたけ生産者は自らの生産物が無農薬であることを声高には言いません。なぜならば、他のいわゆる無農薬野菜や減農薬野菜が努力により農薬使用を抑えるのに対し、もともとの栽培方法が農薬を使うところが滅多にない、無農薬であることが当たり前の栽培方法だからです。原木しいたけ栽培にも肥料は存在します。俗に「栄養剤」といわれるため、生産者のなかにも薬と誤解されている方もいます。これは硫安という畑に窒素分を補給する肥料を主原料とするもので、安全な肥料であることを強調したいと思います。

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食育そして食養

食を通じて、楽しく家族の団らんや人とのコミュニケーションを図り、また食を通じて、健康を維持することが出来ることは非常に幸せなことです。いま、教育の新しい柱として「食育」が提言されています。子供たちが自らのエネルギーや体の一部となる食材についてよく知ることは重要な教育であると認識されるようになりました。また、大人にとっても自らの健康を維持するため、バランスの良い食事はかかせません。「医食同源」という言葉の通り、健康を保つためには医療も食事もたがいに不可欠なものなのです。


菌食(きんしょく)をおすすめします

菌食とは、納豆、醤油、味噌、ヨーグルトなどの菌類を使用した食品を食べることをいいます。菌食とは、納豆、醤油、味噌、ヨーグルトなどの菌類を使用した食品を食べることをいいます。野菜を食べる菜食、肉や魚を食べる肉食、そして菌食のバランスを重ねたとき、はじめて健全な食生活が可能となります。原木しいたけは菌類。菌食に属するものとして、ぜひ食卓に加えていただきたいと思います。

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原木しいたけと健康

@骨粗しょう症予防に

原木しいたけはビタミンDが多く含まれる食材です。骨粗しょう症予防のためには、カルシウムを摂取し骨密度を高めることが重要です。ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収、骨へのカルシウム吸着など、体内におけるカルシウム代謝に重要な役割を果たします。

A美容のために

原木しいたけは食物繊維が多く含まれ、さらに低カロリー。食物繊維は、若い女性の肌あれや吹きでものの大敵といわれる便秘の予防に効果があります。また、食物繊維は、腸の働きに必要となるバクテリアを増加させるとともに、コレステロールなどの不要な物質を吸着し排出を速めるなどの働きをしているといわれています。

B生活習慣病の予防のために

原木しいたけの旨み成分、グアニル酸は血小板凝集を抑制する核酸系物質を含み、血液をサラサラにして流れを良くし、脳血栓や心筋梗塞の予防に効果があります。また、他のきのこ類にはない成分エリタデニンをふくみ、コレステロール値を下げるとともに血流をスムーズにして血圧を降下させる働きがあります。乾しいたけ一枚をコップ1杯の水で戻した汁(冷蔵庫で24時間)を毎日飲むと血圧が下がります。

C抗腫瘍効果も

アガリクスに含まれているβ―グルカンという成分が免疫活性を高め、抗腫瘍効果があるということで注目されました。アガリクスばかりではなく、原木しいたけにも、このβ―グルカンは含まれます。β―グルカンは直接がん細胞を攻撃するのではなく、がんに対して強い抵抗力を発揮するナチュラルキラー細胞(NK細胞)やTリンパ球の活性を高める働きがあります。また、食用きのことして唯一制がん(免疫療法)剤レンチナンが開発され、医療現場で活用されています。